11/3別府「ポエトリー・サラダボウル」のお知らせ

2018年11月3日(土)、大分県の別府にて、
「ポエトリー・サラダボウル」というイベントが開催されます。
略して「ポエサラ」。

poetry-saladbowl.jimdofree.com

概要はこんなかんじ。

開催日 2018年11月3日(土)
時間 12:00~17:00
会場 別府市社会福祉会館(大分県別府市田の湯町15番40号)
後援 土曜美術社出版販売(詩と思想)
講師・パフォーマー 平川綾真智・瀧村鴉樹・元ヤマサキ深ふゆ・にゃんしー・泉由良

 基本的には「ポエトリーリーディング」のイベントですね。
つまり、詩の朗読です。
「なんであえて横文字にするねん。欧米か」と
思わなくもないのですが、
ポエトリーリーディング」はエンタメとしての詩の朗読だと思っているので
両者は区別されるのが適切かと思っています。
(「ポエトリーリーディング」はアートだ、という向きもあって
アートとエンタメは全然違うと思っているので、
そこで齟齬とか議論とかあるかもしれないのですが、
そのへんは「ポエサラ」で見て考えてもらったらいいのかな、と)

主催は大分4F(詩階)とこんぺき出版。
こんぺき出版さんといえば、昨年まで「zine展inBeppu」という
文芸同人誌の即売会を主宰されていました。
委託オンリーの同人誌即売会で、全国各地から本が郵送され、
それが別府の温泉街にある旧ムラヤ青果店で販売される、という形式でした。
当然といえば当然なのですが、同人誌即売会は都市圏のほうがやりやすいです。
単純に人が多いですから、お客さん(と出店者さん)を集めやすい。
(これは同人誌即売会に限らず、イベント全般についてそうなんだと思いますが)
なのに別府という観光地とはいえど決して人が多いとはいえない町で
同人誌即売会を開催し、しかも他のイベントに負けないような売上を上げていたことが
印象に残っています。
それに、委託販売を請け負う、というのはとても負荷がかかります。
単純に作業量が増えますし、大事な書籍の扱いには気をつかいますし、
売れない本が出たときは申し訳ない気持ちでいっぱいになります。
そんななかでこんぺき出版さんはとても真摯に、丁寧に、
心を込めて本を扱っていたことをよく覚えています。
きっと本が大好きなんだろうな、と。

こんぺき出版さんと大分4Fさんが
(大分4Fさんは、「zine展inBeppu」のサポートにも回っていたようです)
今年は「zine展inBeppu」をやらないと決めたのを知ったとき、
だからとても残念でした。
その代わりに「ポエトリー・サラダボウル」というイベントがあるのを知ったとき、
残念だったぶんだけ、とても楽しみになりました。
「zine展inBeppu」は「本を読む」イベントですが、
「ポエトリー・サラダボウル」は「本を聴く」イベントです。
きっとおなじように、本が大事にされるんだろうな、と。

「ポエトリー・サラダボウル」は3部構成です。

◆ライブ
ゲストパフォーマーによるポエトリーリーディング
12:00 ~13:00
瀧村鴉樹・にゃんしー・元ヤマサキ深ふゆ・泉由良
全国で詩を使ったパフォーマンスをして活躍している表現者が、朗読パフォーマンスを行います。

トーク
詩を朗読で美味しく食べよう
~現代詩とリーディング・シーン
13:00 ~14:00
平川綾真智 他ゲスト
詩人平川綾真智氏を講師として迎え、ゲストパフォーマーと共に詩と朗読について、トークショーを行います。

◆ワークショップ【出演参加は要予約・視聴は自由】
ポエトリーリーディング・オープンマイク
~出張「文学極道公式ツイキャス
14:00 ~17:00 頃
瀧村鴉樹メイン MC・平川綾真智・元ヤマサキ深ふゆ 他ゲスト
来場者にステージで自作の詩を朗読してもらい、ゲスト主導で作品を鑑賞・批評します。
会場の様子はツイートキャスティングにてネット配信します。
自作詩枠と即興詩枠の二部構成。即興詩枠については飛び入り参加も可能です。

まずはゲストライブ。

瀧村鴉樹さんは高知県在住の詩人で、
「文学極道公式ツイキャス」と題した
ネット上朗読会の司会をしておられます。
「現代音声詩人」という肩書きのとおり、
非常に音楽的な詩の朗読をされる方という印象です。
Youtubeで拝見したかぎりでは、
現代詩を音声として展開する試みをされているように感じましたが、
生のライブではネット上とはまた違った質感が現れると思いますので、
それに触れるのが楽しみです。

元ヤマサキ深ふゆさんは、
主に「ポエトリースラム」で活躍されている印象です。
「ポエトリースラム」というのは「ポエトリーリーディング」のみならず
「ラップ」や「朗読」や「話芸」や「漫談」や「落語」や「即興」や
とにかく言葉を声に出すありとあらゆるパフォーマンス
(総称して「スポークンワーズ」と呼ばれることもあります)
で、勝ち負けをつけようという競技会です。
勝敗をつけるのは、お客さん全員だったり、お客さんから選ばれた数人だったり、
主宰が用意した審査員だったりします。
勝敗のつけかたも、点数制だったり、どっちが勝った負けたの旗をあげたり、
いろいろです。
いずれにせよ、そこで披露されるパフォーマンスは、
お客さんを引き付けて離さない「魅力」と
対戦相手を打ち倒す「タフさ」を
要求されることが多いように見えます。
元ヤマサキ深ふゆさんはそこを舞台に戦ってきたということで、
歴戦のスキルや経験がどう朗読に現れるのか、注目したいと思います。

泉由良さんは基本的には詩や小説を「書かれる」方だと思っています。
そのぶんだけ、声に出されるあいまいさに妥協しない
しっかりしたテキストの作品を朗読されることが多いように思います。
ポエトリーリーディング」は歌唱のより原始的な表現だと思っていますので、
意味を伝える「アナウンサーのように読む」よりも、
感情を伝える「うたうように読む」ほうが効果的だと思っているのですが、
泉由良さんはふだんの発声から音階があり、豊かな声調があります。
(「声調」というのは主に中国語に関する言葉で、ひとつの音節毎に
音の上がり下がりがあることです。
日本語は中国語など他の言語に比べて声調が弱く、
各音節がデジタルに一音で発声される言語だと
中国語の先生に言われたことがあります)
うたうように読まれる詩は必ずしも意味を伝えるものではないのですが、
意味ではないものによって心を揺り動かされる経験があるとすれば、
それは泉由良さんの朗読に期待できるものだと思っています。

あと、わたし、にゃんしーもパフォーマンスします。
わたしは普段、路上パフォーマンスをしていますので、
だいたい同じかんじの、楽しいポエトリーを見せたいと思います。

ライブのあとは、2部としてトークがあります。
これは現代詩人である平川綾真智さんを司会に、
瀧村鴉樹さん、元ヤマサキ深ふゆさん、泉由良さん、にゃんしーという
さきほどライブをした4人のパフォーマーが「ポエトリーリーディング」について
語る場です。
現代音声詩人・ポエトリースラマー・テキストとしての詩人・路上パフォーマー
それぞれに見てきた、体験してきた「ポエトリーリーディング」が異なりますので、
様々な角度から視点を与えられた「詩」や「朗読」や「ポエトリーリーディング」には
新しく気づくことがあるのではないかと思います。

3部は、ワークショップです。
これはネット上で行われている朗読会「文学極道公式ツイキャス」を
イベント会場で生でやっちゃおうという試みです。
会場でも見られますが、ネット配信されるので、
日本中、というかいってしまえば世界中で朗読を楽しめることになります。
「文学極道公式ツイキャス」がいつもそうであるように、
自作詩・即興詩のそれぞれについて希望者を募り、
朗読していただき、司会が講評します。
今回は、ゲストパフォーマーも講評することになっています。
大切に書かれた詩だと思いますので、わたしもできるだけ大切に、
真摯にコメントしたいと思います。
自作詩の枠はすでに埋まっているのですが、
即興詩の枠は当日飛び入りができますので、
もし当日やってみたい方がいらっしゃいましたら、ぜひ登壇ください。
実際に他のひとがやっているのを見たら、イメージもわくと思います。

そんなかんじで、長々となりましたが。
「ポエトリー・サラダボウル」まであと9日。
できるだけたくさんの人が来てくれるといいな、と思います。
別府や大分や九州界隈の方もそうですし、もっと遠くからでも。
関西からならフェリー旅が楽しいですし、以東なら飛行機などになりますが、
別府観光を兼ねて、温泉と言葉に浸る旅というのもいいんじゃないかな、と
思います。

「zine展inBeppu」がそうであったように、
「言葉を大切にしてくれる場所」なんじゃないかな、と思います。
同じように、言葉を大切にしている人、したい人、しなかったことを後悔している人、
たちが別府にたくさん集まってくれるとうれしいです。

ほかに書きたいことも多くありますが、そのほとんどは別府にあるので、
もし来られることがあれば、聴いてみてくださいね。